２０２３年度は、物価上昇に賃上げ率が追い付いていない状況が続いたことから顧客マインドが低下し、新設住宅着工数は８０万戸(対前年比７．０％減)となり２年連続の減少となりました。中でも持ち家に関しては対前年比でマイナス１１．５％と大きく落ち込みました。
　国内総生産の過半を占める個人消費の中でも、住宅は裾野が広く影響が大きいため、新築住宅着工数の減少には歯止めをかければなりません。本年は３４年ぶりに日経平均株価が最高値を更新したことから、株高が住宅受注を押し上げるとの期待もあります。しかしその恩恵は一部に限られており、一次取得者層にとってはインフレによる住宅価格の高騰や、利上げによる住宅ローンへの影響を心配する声も大きくなっています。これからは企業が好業績を維持し、大幅な賃上げを重ね、実質賃金を上昇させていくことが肝要です。同時に住宅ローン減税の継続や、子育て世帯への住宅取得に対する後押し等の政策が実施されていますが、これらの切れ目のない支援が求められます。
　当協会としては、今後さらに省エネの重要性が高まる中で、引き続き輸入住宅の持つ性能の高さを消費者に向け発信していきます。又、多発する地震により住宅の耐震性能や安全性への関心が高まっていますが、建物の耐震化に加えて、地盤調査や地盤改良工事による地盤保証制度を継続しており、利用者に安心を提供しています。
　ソフト面においては、海外の設計思想に基づく合理性と多岐に渡るライフスタイルへの対応力、そして日本の街並みにもマッチする外観デザインという特徴を備え、ポストコロナの新たな住まい方提案においても、輸入住宅は先導的な役割が果たせると確信しております。
　会員に対しては、人材の育成を目的とした各種セミナーの開催や「ライフスタイルプランナー及びライフスタイル・リフォ－ムアドバイザー資格試験」を行っております。又、国の施策や法改正、建材の流通状況などを会員へ迅速に伝えると共に、住宅税制の見直し要望も引き続き行ってまいります。特に今後は多くの法令改正が控えており、その情報や、補助金について会員への伝達を積極的に行ってまいります。

一般社団法人　輸入住宅産業協会
会長　村井　秀壽